主催・協賛・関連行事平成29年度優秀地域貢献賞候補者の推薦依頼

 優秀地域貢献賞規程に基づき,会員各位から平成29年度の日本農作業学会優秀地域貢献賞候補者の推薦を募ります.応募に当たっては,下記の1,2の電子ファイルを優秀地域貢献賞選考委員会幹事宛にEmail(アイコンをクリックしてください.)に添付して送付してください.なお,授賞式は平成30年度春季大会にて執り行う予定です.

  1. 所定の事項を記入した本ウェブサイト掲載の「優秀地域貢献賞推薦用紙」
  2. 2,400字以内に書かれた「業績調書および推薦理由」

応募期限: 2017(平成29)年7月11日(火) 必着

送付先・問合せ先(事務局): E-mail
       日本農作業学会優秀地域貢献賞選考委員会  幹事 本林 隆
       (事務取扱 株式会社 共立)       

 

主催・協賛・関連行事平成29年度学術奨励賞選考結果について

 日本農作業学会学術賞(奨励賞)選考委員会(田島淳委員長ほか委員3名,幹事1名)は,学会誌第51巻第1号の会告に基づいて会員からの推薦があった受けた候補者1名の業績について,平成28年の11月から平成29年の1月20日にかけて,メール審議により慎重な審査を行った結果,以下の業績は平成29年度の日本農作業学会学術奨励賞の授与に値するものと判断した.受賞業績および授賞理由は以下の通りである.

受賞業績名:二段ベルト式搬送機構による野菜の播種間隔精度向上に関する研究
受賞者名(所属):松尾 健太郎(農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター)
授賞理由: 審査対象業績は,当学会の学会誌「農作業研究」に掲載された原著論文2編とそれに関連する国際会議(International Symposium on Machinery and Mechatronics for Agriculture and Biosystems Engineering)での研究発表論文1編,公開特許1件である.これらの業績は,シンプルな構造のベルト式の種子搬送機構を有する野菜用播種機において,種子の大きさや形状が不整形で特異であるが故に播種精度が確保できなかったものについて,播種位置が不安定になる原因を高速度カメラを用いて見極め,さらに,その結果を基に,既存のベルト式搬送機構を二段で用いることで,問題解決に結びつけるという,極めてシンプルでありながら,確実な技術として完成させた点が高く評価できる.その技術は今後の精密播種機の設計指針になるものであると考えられる.また,その過程において,種子の運動軌跡をシミュレーションにより求め,問題点の把握,解決手段の創出などに応用している点は学術的価値も高いものと評価できる.以上により,日本農作業学会の学術奨励賞に値するものと判断した.

 受賞業績の概要および成果は以下の通りである.
1) 「ベルト式繰出し機構の播種精度を低下させる要因の解析」(農作業研究48(1)掲載)
傾斜ベルト式播種機において種子が放出されて地表面に着地する直前までの過程で播種間隔に影響を与える要因を高速度カメラを用いて観察した結果,ホウレンソウとダイコンのような形が不均一な種子では,放出位置が大きく変動すること,種子誘導管に衝突した場合管壁角度が大きいほど落下角度の変動が大きくなること,ホウレンソウとダイコンでは約80%の種子が種子誘導管との衝突により落下時間の変動が大きくなること,リンクベルトの移動方向が播種機の進行方向と逆方向の場合は播種精度が低下すること,などを明らかにし,ベルト式繰り出し機構において改善が必要な箇所を抽出した.
2) 「ベルト式繰出し機構を用いた二段ベルト精密播種機の開発」(農作業研究48(4)掲載)
前報で抽出した問題点を解決するために,重なった2 本のベルトが同期して動き,上ベルトの小さな穴で種子を取出した後,隣接して動く下ベルトの大きな穴に種子を渡し,低い位置で種子を放出することが可能な,二段ベルト精密播種機を開発した.これにより種子の落下位置が安定し落下距離も短縮することを可能にした.定置試験においてコート種子のニンジンの播種では,真空播種機とベルトアップダウン式播種機に対し,播種間隔の四分位範囲は2 分の1 以下,欠粒や2 粒播きの率は0%となった.その結果,間引き作業を省略することが可能になり,野菜栽培における作業効率の改善に貢献した.
3) 「Development of Precision Belt Seeder to Ease Thinning」(Proceedings of the 7th ISMAB)
開発した二段ベルト式種子搬送機構のベルト幅を広げ2条に改良した.手押し式の播種機を用いて栽培試験を行った結果,条間は35.0±0.7 mm,株間は280 mmの設定に対し,2条併せてのばらつきは,18.8±12.3 mmとなり,発芽後の間引き作業を従来機使用時に比べ46%省力化が達成されたことを報告した.
4) 「点播用精密播種機」特許出願公開番号 特開2005-333859(P2005-333859A)
植物の種子を精度良く点播することができ,かつ低コストで製造することができる点播用精密播種装置に関する発明として,特許を取得した.特徴として認められた点は,異なる大きさの種子収容穴を有する二段のベルトで種子の搬送・受け渡しを行う点で,従来機における要素を利用することにより低コストで製造できる点も評価された.

 

主催・協賛・関連行事平成28年度優秀地域貢献賞候補者の選考結果について

 日本農作業学会優秀地域貢献賞選考委員会(細川寿委員長,佐藤達雄委員,深山陽子委員,小林恭委員,本林隆幹事)は,平成28年12月から平成29年1月にかけ,個別に審議を行った.常任幹事会から推薦のあった候補者の業績について慎重に審議した.その結果,全員一致で2業績(受賞者2名) に対して,平成28年度日本農作業学会優秀地域貢献賞を授与することが適切であるとの結論に達した.受賞業績名,受賞者名(所属),授賞理由は以下のとおりである.なお,授賞式および受賞講演会は平成29年度春季大会で執り行われる.

1)
受賞業績名:静岡県の地域特産物における省力生産技術の開発と普及
受賞者名(所属):山根 俊(静岡県農林技術研究所
授賞理由:候補者は長年にわたってホウレンソウ,茶,青切りタマネギなどの地域特産作物の機械化研究に取り組み,開発・製品化・普及まで行い,農作業改善に大きく貢献している.また,本学会会員として大会運営に携わるなど学会への貢献も大きい.以上のことから日本農作業学会優秀地域貢献賞に値すると認められる.

2)
受賞業績名:暖地における青切り出荷体系タマネギの省力的収穫・調製体系の開発と普及
受賞者名(所属):西村 融典(香川県農業試験場
授賞理由:候補者は長年にわたって香川県の主要品目であるタマネギ栽培に係る一連の作業の改善,機械開発に取り組み,青切り出荷体系タマネギの省力的収穫機・調製体系を普及技術にまで高めた.また,関連成果を農作業学会誌に筆頭著者として論文発表するなどした.その過程で特許も取得しており,暖地の府県産タマネギ産地に顕著な貢献が認められることから日本農作業学会優秀地域貢献賞に値すると認められる.

 

主催・協賛・関連行事「東日本大震災に関する緊急集会」開催報告

 平成23年7月16日,京都大学吉田キャンパスで開催された日本農作業学会春季大会において表記集会が開催された.集会は,中司敬副会長(九州大学農学部)および、小松崎庶務幹事(茨城大学)による司会進行ですすめられた.以下,集会の概要について報告する.

 開催にあたり,小松崎庶務幹事から,開催趣旨として,東日本大震災に対する農業部門での総合的な対応が求められており,今回の意見交換をもとに農作業学会の活動につなげていく必要があることが述べられた.また,中司副会長からは,今回の大震災に対する対応は,被災地の復旧・復興支援にあたっての農作業学会および会員の学術的取り組みに加えて,学会が広く果たすべき社会的貢献など,長期的視点をもって農作業学会は対応すべき点があり,今回の集会で意見交換いただきたいとの説明があった.

 まず,被災地の会員から口頭で現状報告をいただいた.星信幸会員(宮城県古川農試)からは,宮城県において津波による被害をうけた1万2千haの圃場では,今年作付できたのはその1割程度であり,多くの圃場ではガレキの撤去が進まず,復旧活動が長期化していることが報告された.津波により塩害を受けた圃場では,代かきによる除塩を行った圃場もあるが,複数回による代かきにより,田植え後酸欠状態になるイネも認められた.そのため,除塩と作物生産が両立する農作業技術についても検討が必要であることが指摘された.

 武田純一会員(岩手大学農学部)からは,岩手県の被災圃場については,ガレキの撤去が約半数ほど終了しているが,ガレキ撤去後の圃場にはガラス類などが残存するため,今後の農作業上留意しなければならない点があることが指摘された.また,地盤沈下などにより水田のパイプラインなどが破壊された圃場においては灌漑水が確保されず除塩ができないなど,災害が複合化しており,現場での対策においては総合的なアプローチが必要であることが述べられた.

 松尾健太郎会員(東北農研)からは,東北地域における野菜作の被災状況について報告された.とくに津波の被害により,園芸関係の試験場や農家圃場が被災しており,ガレキの撤去が進まず,再建の目処が立っていないところが多いことが報告された.園芸施設においては,津波による浸水がなかった施設においても停電によって断水が生じ栽培作物が枯死してしまった園芸施設があり,全自動をうたっていた施設では停電による対応が全くできなかったことが指摘された.また,東北における園芸生産について復興プロジェクトがいくつかはじまったことが紹介された.

 関矢博幸会員(東北農研)からは,東京電力福島原子力発電所からの放射能漏れ事故の影響を受けている地域の稲作,畜産農家の対応の様子が報告され,農業者が農業に対する希望がもてるような復興活動について,農作業学会に対する期待が述べられた.

 小林恭副会長(中央農研)からは,放射能の除染に関する研究の取り組み状況が報告され,汚染レベル別の対応研究が,物理的除染,化学的除染,および生物的な除染など多面的に取り組まれつつあることが報告された.また,表土はぎなどによる汚染土壌の取り扱いに関する対応についてはまだ検討中であることが報告された.

 長崎祐司会員(農研機構近中四農研)からは,東北随一の園芸産地が被災を受けて,東北の園芸生産団地の再開発に関する議論がでていることが報告された.また,これまで資材コストやランニングコストを抑えた施設園芸のあり方について農作業学会においても報告しており,これらの技術も復興計画に貢献できる可能性があることが報告された.また, これらのイノベーションには時間がかかるため,長期的な取り組みが必要であることが指摘された.

 最後に瀧川具弘会長(筑波大学)から,東日本大震災に対する復興活動はまだまだはじまったばかりであり,地域の動向など学会会員間で連携をとり,農作業学会としての貢献の在り方については長期的に取り組んでいく必要性があることが強調された.

  今回の緊急集会は当初の予定になかったプログラムではあるが,非常に多くの会員にご参加いただいた.また話題提供いただいた会員の方々には,被災地などいまだ緊急的,流動的な状況なかでご報告いただいた.東日本大震災に対する復興にはまだまだ時間が必要であるが,農作業学会が期待される事項も多いことが改めて確認された.話題提供をいただいた皆様, ご参加いただいた皆様に記して謝意を表する.

(文責 小松崎将一)

(農作業研究 第46巻第3号「報告」より)

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